原発の再稼働の条件となる新規制基準が今日、8日施行される。
しかし、原発新基準 ザル法よりひどい穴だらけ 原発再稼働は論外だと思います。このまやかしに騙されてはいけません。
原発の再稼働の条件となる新規制基準が今日8日施行されます。電力各社は、一日も早く再稼働しようと、8日朝から、いっせいに原発再稼働の前提となる申請を行うでしょう。
安倍自公政権は「世界最高水準」などと新基準をテコに再稼働をしゃにむに推し進めようとしており、再稼働を許すかどうかは参院選挙の重大な争点です。
しっかり、このまやかしの基準を知って、再稼働に選挙でノーを突きつけたいものです。
そもそも、「放射能放出が前提」の基準が甘い
福島第1原発事故では、原子炉格納容器が壊れ、大量の放射性物質が放出されました。
しかし、格納容器のどこがどのように壊れているのかも不明です。
新基準は、格納容器そのものは見直さず、格納容器の圧力を下げるために、内部の蒸気を放出するフィルター付きベント(排気)装置などを設置することで、格納容器の破損を食い止めようという発想です。
ベントは、環境中に放射性物質が放出されるのが前提です。新基準は、炉心損傷以降のベントで放出される放射性物質について、セシウム137を100テラ(1テラは1兆)ベクレルを下回るようにと求めているだけです。
しかし、この放出量でとどまる保証はありません。さらにフィルター付きベントで除去できないガスもあります。
規制委が格納容器の設計基準の見直しに踏み込まなかったのは、見直せば、多くの原発が不適格になる可能性があるためです。
新基準は、その格納容器を守るため環境中に放射性物質を放出するベントを前提とした対策をとったのです。住民を被ばくから守るより、原発の運転を優先しています。
規制委が独立した、政府の干渉を受けない。というのは、ウソで有ることは初めから分かっていましたが・・。
誠しやかに、やってきましたがここに来て、この新基準をみれば、それがハッキリします。
「地域防災」は置き去りのまま
新基準は、放射性物質の放出を認めながら、原子力防災を置き去りにしています。
規制委は昨年10月に原子力災害対策指針(防災指針)をいったんまとめましたが、それを受けての市町村の防災計画、住民の避難計画は、いまだに2割以上の市町村で策定が滞っています。策定したところでも、30キロ圏内の住民が本当に一定時間内で避難できるのか、実効性に疑問が出されています。
規制委の田中俊一委員長は、地域防災計画について「稼働判断と直接リンク(連結)するものではない」と述べ、地域防災計画の不備や実効性に関係なく、新基準への対応を審査するといいます。
田中委員長は会見で「あくまでも地域住民に対する防災の責任は、各市町村長とか県知事」と発言。
つまり、ここがおかしいのです。原発は国の政策で進められ来たものです。しかし、防災計画の実効性などに責任をもたない姿勢を鮮明にしています。
国連の社会権規約委員会は5月
日本に対する勧告で「核事故の防止ならびに〔事故発生の際の〕対処に関する地域ごとの準備が全国的に不十分」と、改めて懸念を表明しています。
事故究明も収束もないままに
東京電力福島第1原発は今も危機的な状況にあり、事故原因の究明は終わっていません。そのなかでつくられた新規制基準は事故の教訓を踏まえたものといえず、国民の安全が保障できないことは明らかです。
福島第1原発の現状は事故の収束とは程遠く、1日400トンも増え続ける放射能汚染水の問題など危機的な状況です。しかも港湾近くで採取した敷地内の地下水から国が定める濃度限度をはるかに上回る放射性物質のストロンチウム90などが検出され、海への流出が疑われています。
今やるべき、事は、再稼働どころではなく、事故の収束と廃炉こそ国は総力をあげるべきです。
事故の原因究明は終わっていないどころか、原子炉建屋内は高線量のため現場調査にも入れません。
国会事故調などで指摘された地震の影響など未解明の問題などを調べる原子力規制委員会の田中俊一委員長自身、国会で共産党の笠井亮衆院議員の質問に「現場は非常に(放射)線量が高い状態。一つひとつ、(調査には)少し時間はかかる」と答えています。調査を担当する更田豊志委員も「事故分析は10年、20年続けるものになるだろう」と述べているほどです。
原発立地自治体からも福島第1原発事故の原因究明を最優先するよう求める声が上がっています。
これもまた、「福島の被災地軽視」、「原発立地してる地元軽視」です。
原発の再稼働には地元の了解が必要であり、どこから見ても再稼働の条件はありません。
「再稼働ありき」の基準での、自民党。
この政策は、明らかに目先の「財界、大企業の経済」優先で、「将来の子どもに負の遺産」を残すのです。
有権者もその事は、シッカリ考えるべきでしょう。
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原発10社、廃炉検討ゼロ=新基準でも再稼働方針―選別進まぬ可能性
時事通信 7月7日(日)2時31分配信
東京電力福島第1原発事故を教訓に、原子力規制委員会が策定した原発の新しい規制基準が8日に施行される。基準を満たすには巨額の対策費用が必要で、老朽化した原発を中心に選別が進むとみられていたが、原発を保有する電力会社など10社のうち、現時点で新たな廃炉を具体的に検討している社はないことが各社への取材で分かった。
原発の運転期間は原則40年だが、延長を申請する方針の社もある。電力会社に廃炉の判断を委ねる現在の制度では、安全性に懸念がある原発が再稼働を認められないまま存続する可能性もある。
新基準は、事故の際に格納容器内の圧力を下げるため放射性物資を減らして排気する「フィルター付きベント」や、免震重要棟などの緊急時対策所、原発を操作する中央制御室が使えない場合の「第2制御室」などの整備を求めている。規制委が新基準に基づいて審査し、安全が確認されなければ再稼働できない。
国内には現在50基の商用原発があるが、時事通信が原発を保有する電力9社と原発専業の日本原子力発電に取材したところ、新たに廃炉を予定したり、廃炉の検討に入ったりしたと回答した社はなかった。